この記事は工場の電気・ガス・水道の削減やカーボンニュートラル対策の方法を検討している方に向けて書きました。
ライフラインエネルギー管理の重要性
工場で生産活動を行うためには電気、ガス、上・下水道といったライフラインのエネルギーを大量に消費します。
エネルギーの使用量の把握のため毎月請求書を確認したり、計量メーターをチェックするといった方法で管理している方も多いかと思います。
しかしこの方法では手間のかかる割に詳細な分析はできませんでした。
もし、工場全体のライフラインエネルギーの使用量が自動で、かつ、詳細に記録できるならとても便利ですよね。
比較的安価に記録する手段として、ライフライン供給会社が設置している計量メーターの信号出力機能を利用した計測手法がありますので、今回はその方法をご紹介します。
既設メーターを利用した高コスパな管理
実は電気・ガス・工業用水の計量メーターには消費量の出力機能が備わっていることが多いのです。
この計量メーターの出力機能を利用して、弊社の「ワイヤレスIOTクラウドロガー(以下クラウドロガー)」へ取り込んで記録することで、追加メーター費用が不要で高コスパに工場全体のエネルギーを記録することが可能となります。
工場全体のエネルギー計測が可能
設備単位に計測する場合、計測個所が複数になり導入コストが高額となる反面、管理できるエネルギー量は小さなものになりがちです。管理できるエネルギーが小さいということは、省エネで削減できる幅も小さいということ。
それとは逆に、ライフラインの計量メーターを利用する方法なら、わずか数点を取り込んで記録するだけで工場全体のエネルギー使用状況が把握できます。
最小点数で計測範囲は工場全体=削減できる幅は最大となるのです。
最小コストで最大の削減ができる
既設のメーターをそのまま利用するから新たなメーター設置コストは不要。
わずか数か所で、工場全体のエネルギー消費を把握できる。
つまり導入コストが最小、削減ポテンシャルは最大となる、非常に費用対効果のよい取り組みが「工場ライフラインメーターの計測」なのです。
省エネで浮いたコストは利益になる
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」に向けて、エネルギー管理は省エネのための切り札となる対策です。
省エネによって浮いたコストは会社利益が増えるのと同じこと。一度省エネ対策を行えばその効果は何年にもわたって続きます。
正確なエネルギー管理は見える化からスタート
「カーボンニュートラルの達成」「コスト削減」には正確な消費エネルギー管理を実施する必要がありますが、人の手による管理には限界があります。
自動で記録してくれる便利な管理機器の導入によるエネルギーの見える化対策は必須です。
信号出力機能があるメーターとは?
ここで実際に信号出力機能があるメーターの一例をご紹介いたします。
どれも特別なメーターではなく、供給会社が通常設置する電力、ガス、水(工業用水)のメーターの多くが信号出力機能に対応しています。
以下でご紹介するような外観のメーターであれば無改造、または簡単な信号取得装置の追加で工場全体のエネルギーデータ取得が可能です。
(実際に利用する際は各インフラ事業者へ「信号出力の有無の確認」と「信号利用の申請や許可」が必要です)
電力メーター
こちらは中部電力管内で利用されているスマートメーターです。
パルスピックセンサーを取り付けすることで工場全体の電力を記録、詳細なデマンド管理ができるようになります。
ガスメーター
東邦ガス管内で利用されているガスデマンドメーターです。
ガス利用料を積算、液晶画面でガス利用量を確認するための機器ですが、パルス出力を標準で持っています。こちらの出力を利用することでクラウドシステムへ工場全体のガス利用量計測が可能となります。
水道メーター
工業用水の検針用メーターです。
ガスの場合と同様に、標準でパルス出力が備わっており無改造でクラウドシステムで記録が可能です。
どれも、工場に設置されている一般的なメーターたちです。
皆様の工場のメーターはどんな形ですか?一度、見てみてください!
取り込んだデータはグラフ比較で分析
弊社の「クラウドロガー」はこれらメーターからの出力信号を無線で取得する仕組みとなっており、工場敷地内のどこからでもデータを集めることが出来ます。
メーターから取り込んだデータはクラウド上の様々なグラフ機能で簡単に分析ができます。
・5分ごとの消費量の把握
・30分単位の消費量の把握
・1日、1か月単位の消費量の把握
・エネルギーが最も多く消費された瞬間
・月や季節ごとのエネルギー消費の変動傾向
・昨年、先月との増減比較
・デマンド管理機能
このような様々が分析をグラフをクリックして切り替えるだけで行うことが出来ます。
特に受電電力に関しては”デマンド管理機能”によってデマンド警報や30秒単位の分析機能などより詳細な分析機能で電気の上手な使い方をサポートします。
1) 電力メーターからの計測
電力消費を24時間365日記録できる
電力分析は専用のデマンド管理画面で行うことができます。
下のグラフ画像は分析機能のうち、電気料金の基本料金を決める30分デマンドを分析するための「30分デマンド」グラフです。
棒グラフは30分積算量、グラフ凡例は30分毎の電力量を表しています。
あるお客様の事例では、電力デマンドグラフで生産の無い時間帯に不自然な電力消費があることを見つけることができました。
原因は換気用の排気ファンが全開稼働していた事で、対策として余分なファンの停止とインバータによる回転数調整といった省エネ対策の実施により年間で数百万円の電気代削減につながりました。
電気代削減の事例は姉妹サイト「工場ペディア」の記事にまとめています。
あわせてご覧ください。
2) 都市ガスの使用量
蒸気ボイラー用の都市ガス消費を管理
こちらは都市ガスメーターからの信号を記録した都市ガス消費量のグラフです。
上の画像はある月曜日の消費を示したグラフです。都市ガスは工場内の主に蒸気ボイラーに消費されているため、朝、ボイラーが自動起動すると共にガス消費が始まり、8時ごろ業務開始とともに一段と消費量が増えた様子がわかります。日中、加温が落ち着くと徐々にガス消費が減っていく様子もわかります。
ボイラーが稼働していない夜間・早朝(~5:00)はガス量ゼロで、正しくガス消費が管理できていることがわかります。
また別日のグラフと比較もできるので、
・季節(夏・冬)、気温変化によるガス消費量の違い
・生産品目の違いによるガス消費の違い
・生産量の違いによるガス消費の違い
・ボイラーや設備の更新前後のガス消費の違い
といった、分析を簡単に行うことができます。
3) 工業用水の使用量
工場全体の水の利用タイミングを見える化
こちらのグラフは工業用水の水道メーターから出力されたパルス信号を使った水消費量のグラフ例です。
グラフはある月曜日の様子です。
水は大きく分けて「生産設備」と「蒸気ボイラー」が使用しており、こちらもガス同様に夜間は水が止まっていますが業務開始とともに水が消費される様子がわかります。夜間・早朝の消費が無いことから、漏水もなさそうです。
あるお客様では夜間・早朝に心当たりの無い水消費が記録されており、電力デマンド同様に分析対策をし年間数十万円の水道代を削減できた事例があります。
こちらの事例も「工場ペディア」にまとめていますので合わせてご覧ください。
4) デマンド管理機能
専用の分析機能でデマンド削減をサポート
「クラウドロガー」には、標準で電力デマンド管理機能が搭載されています。
・デマンド予測、デマンド超過警報
・曜日ごとの最大デマンド発生頻度グラフ
・日付ごとの最大デマンド発生頻度グラフ
など、このほかにも様々なデマンド管理・分析をサポートする機能が多数あります。
「ワイヤレスIoTクラウドロガー」のもう少し詳しい説明を「工場ペディア」にてまとめています。
ちょっと興味がわいてきたぞ、という方はぜひご覧ください。
70余年培った経験だから出来るIoTがある
現場で本当に使えるIoT
私たちは、工場の心臓部であるプラント設備の設計施工・メンテナンス業務を中心に地域とともに70余年を歩んできました。
そのノウハウを生かし「現場で本当に使えるIoT」を目的として提供しているのがクラウドロガーをはじめとしたIoTソリューション群なのです。
機器だけ、工事だけ、ではない、本当に現場で使うためのご提案から導入工事、その後のサポートと改善までをワンストップで提供できることこそが、弊社のIoTソリューション最大の特徴なのです。
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